ENGINEERS' COLUMN

vol.2

公開日:2025/11/10

CPU・GPU・DPUの違いと役割のおさらいから多様化するプロセッサの最適利用について

  • アーキテクチャ

はじめに

皆さんはCPU・GPU・DPUといったワードをどのくらい頻繁に目にしますか?
近年、サーバーやストレージシステムの設計において「CPU(Central Processing Unit)」だけではなく、「GPU(Graphics Processing Unit)」や「DPU(Data Processing Unit)」といった多様なプロセッサの組み合わせ(もしくはそれらを搭載した製品の利用)がずいぶん一般的になってきたと思います。

旧来のサーバー、ストレージ、ネットワークという固定的なシステム構成からAI、HPC(High Performance Computing)、クラウドインフラ、ネットワーク処理など、それぞれの用途に応じて適切なプロセッサや製品を選定することはシステム全体の性能や効率を左右する要素となっています。

本稿では、CPU・GPU・DPUそれぞれの特徴と得意分野、今後の利用シナリオに触れていきます。
次回以降は、CPU・GPU・DPUのより詳細な内容や、高機能化に伴う消費電力と発熱の増大について解説します。

CPU・GPU・DPUの違いと得意分野

CPU(中央処理装置)の特徴

CPUは汎用的な処理を得意とするプロセッサであり、OSの制御やアプリケーションの実行など、システム全体の中枢を担います。いわばどのような処理でもこなすことのできるプロセッサです。
少数の高性能コアを持ち、逐次処理(シリアル処理=順に処理を行っていく)に優れています。
サーバーやPCの世界での代表的製品としては、IntelのXeonシリーズやAMDのEPYCシリーズなどが挙げられます。

表1:CPU代表的製品
系統 製品例
x86系 Intel Xeon シリーズ、Core シリーズ
AMD EPYCシリーズ、 Ryzen シリーズ
ARM系 Cortex-Aシリーズ
Apple Mシリーズ
Qualcomm Snapdragonシリーズ
RISC系 SPARCシリーズ
IBM Powerシリーズ
VLIW系 Intel Itaniumシリーズ

Apple Mシリーズ、Qualcomm Snapdragon シリーズはCPU単体ではなくARMアーキテクチャを採用したSoC(System on Chip)となります。

特徴
  • 高い汎用性 つまり何でもできる
  • 単一処理に優れる
  • I/Oの制御やOSの実行からアプリケーション実行まですべてをこなす
代表的用途
  • アプリケーション実行
  • データベース処理
  • システム制御

いわゆるPCやサーバーの頭脳となるプロセッサです。

表2:CPUの得意分野と苦手分野
項目 特徴
得意分野 汎用計算、制御処理、OS管理、さまざまな処理に対応
苦手分野 並列処理、大量データの同時処理

GPU(グラフィックス処理装置)の特徴

GPUは名前の通りもともとは画像処理や描画といったPCのビデオ出力を高速に行うために開発されたプロセッサです。数千〜数万の特定の演算を効率よく実行するユニットを持ち、大量のデータを同時に処理する能力(並列処理性能)が非常に高いことが特徴です。近年は演算方式の特徴からAIや科学技術計算など、大量のデータを並列に処理する分野での利用が多くなっています。
近年ではGPUと言ってもグラフィックス用とGPUから派生したAIの学習や科学技術計算用のアクセラレータに特化した製品があります。本稿ではAIや科学技術計算専用のアクセラレータも便宜上GPUに分類しています。

表3:GPU関連代表的製品
メーカー 製品例
NVIDIA H200、B200、A100、RTXシリーズ
AMD Instinct MI350シリーズ、Radeon RX9000シリーズ
Intel Gaudi 3シリーズ、Arcシリーズ
特徴
  • 超並列演算性能に強い
  • 行列演算やベクトル演算といった特定の処理を高速に実行できる
  • 逐次処理、制御系の処理は苦手でCPUからの指示により演算を行う
代表的用途
  • AIの学習・推論
  • 科学技術計算(シミュレーション、HPC)
  • 画像・映像処理
表4:GPUの得意分野と苦手分野
項目 特徴
得意分野 超並列処理、行列計算、AIの学習・推論、動画・画像処理
苦手分野 制御系、複雑な条件分岐処理、逐次処理、OS処理

DPU(データ処理装置)の特徴

DPUは近年注目されているプロセッサです。2000年代よりネットワーク処理をオフロードしCPU負荷を軽減するSmartNICと言われる製品が存在していました。近年は多数のCPUコアを搭載したDPUを搭載することでSmartNICは高速なデータ転送やネットワーク処理、暗号化処理などもCPUから分離してオフロードできるようになりました。
DPUにより進化したSmartNICを利用することで、CPUの負荷をより軽減し、サーバーやシステム全体の効率化を図ることが可能になります。
代表的なDPU製品としては、NVIDIAのBlueField(旧Mellanox)シリーズ、Intel IPUなどがあります。DPUについては内部の構造により製品が異なります。

表5:DPU代表的製品
系統 製品例
FPGA系 Intel IPU F2000X-PL、AMD (旧Xilinx)系製品など
Fixed ASIC系 NVIDIA BlueFieldシリーズ、Marvell OCTEON10シリーズ
P4 Programmable ASIC系 AMD Pensando DSCシリーズ
Intel IPU E2100シリーズ

FPGA:Field Programmable Gate Array(後からプログラムにより論理回路を変更できる半導体)
ASIC:Application specific integrated circuit(特定用途向け集積回路)
P4:Programming Protocol-Independent Packet Processors(ネットワークのデータプレーンを記述するプログラミング言語)

特徴
  • データ転送、暗号化、圧縮処理をオフロード
  • CPU負荷を軽減し、アプリケーション処理にリソースを集中
  • ハードウェアレベルのセキュリティ機能を搭載するケースが多い
代表的用途
  • データセンターネットワークやGPUサーバーのネットワーク処理
  • ストレージシステムのI/O処理
  • セキュリティ機能(暗号化、ファイアウォールなど)
表6:DPUの得意分野と苦手分野
項目 特徴
得意分野 ネットワーク処理、暗号化、データ転送
苦手分野 汎用処理、アプリケーション実行

表5のFPGA系、Fixed ASIC系、P4系など製品により若干異なります。

CPU・GPU・DPUの比較

以下の表は、各プロセッサの得意分野や主な用途を比較したものです。

表7:各プロセッサの比較
プロセッサ 主な用途 得意分野
CPU 制御・汎用計算 逐次処理、分岐や制御といった処理
GPU AI・画像処理 超並列処理、行列計算
DPU データ転送・暗号処理 ネットワーク処理、暗号化など特定の処理

今後の課題と展望

すべての処理をCPUに任せていた時代は終わり、CPU・GPU・DPUそれぞれの強みを生かし適材適所の利用が今後の鍵となります。
AIやクラウドネイティブ技術が今後さらに進展することにより、これらのプロセッサを組み合わせた最適化が一層重要になるでしょう。
システムの設計としては、「どの処理をCPUが行い、どの処理をGPUやDPUに任せるか」という役割分担を意識したアーキテクチャの設計が求められてきています。

1)ハイブリッド利用の加速

クラウドサービスや大規模データセンター、AIクラスタシステムでは、CPUを制御と汎用処理に限定利用し、GPUでAIの学習や推論、HPC処理を加速、DPUでネットワークI/O処理を分担する構成が主流になりつつあります。

2)ストレージやネットワークの進化

NVMe over FabricsやRDMA(Remote Direct Memory Access)といった高速I/O技術の普及に伴い、DPUによるオフロードはストレージ性能のボトルネック解消に役立っています。

3)セキュリティ強化

ゼロトラストの流れの中で、DPUがステートフルファイアウォールの機能を高速に実行したり、暗号化処理を実施することが注目されています。

アーキテクチャ模式図

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図1:CPU、GPU、DPUがシステム全体でどのように役割分担しているかを示す模式図

利用シナリオ例

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図2:CPU・GPU・DPUを組み合わせたGPUクラスタシステムの例

消費電力と発熱の課題

高性能CPUやGPUは性能向上に伴い消費電力の増加、それに伴う発熱量の増加が止まりません。 最新のGPUモジュールである NVIDIA Blackwell B200 GPUの消費電力は最大1200Wとなり、サーバーラック全体では数10kW~100kWを超える熱が発生します。そのため、最新のCPUやGPUを多く搭載した製品では従来の空冷方式による冷却が困難となってきています。
CPUやGPUの高性能化により、計算能力は飛躍的に向上していますが、そのトレードオフで消費電力と発熱量の増大が今後の深刻な課題となります。
このような流れのなか従来主流の空冷方式から高密度サーバーやGPU搭載サーバー、データセンター環境では、液冷方式などの新しい冷却技術が注目されています。
次回のコラムでは、なぜ液冷が注目されているのかについて解説していこうと思います。

本ページに記載されている社名、製品名などは、一般に各社の表示、商標または登録商標です。

山崎 仁

著者情報

山崎 仁

テクニカルサポート本部 エキスパートエンジニア

1998年別業種より中途入社。入社後カスタマーエンジニアを経てサポート部門へ。
主にHPE サーバー、ストレージ製品とOSを中心に担当し、新規取り扱いの製品の保守サービス立ち上げ(企画、技術検証、育成など)に長く従事。現在は業務改革やAIへの取り組みも担当。

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